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― ナイジェリアに行って、環境はどう変わりましたか?

シャワーが出ないとか、クーラーが効かないとか、日本人の常識で当たり前のことが当たり前にならないのがアフリカ大陸なんだな、っていうことをブルキナファソでよーくわかったので。思い通りにならないからイライラするわけであって、最初から「思い通りにならないんだ」と思っていたから、ナイジェリアでは問題はありませんでしたね。

― ナイジェリアでは多少環境が良くなったの?

ナイジェリアの環境は良かったんですよ。大会を開催するくらいの国だから、そこそこの設備がないと出来ませんからね。それでも…いろいろなことはありましたよ。やっぱりクーラーが効かなかったとか、エレベーターが止まっちゃったとか。

― 動かなくなっちゃったらしいよね。

その時、エレベーターの中にいましたよ。僕のほかにも何人かいましたけど、オーッ!?って感じで。他のホテルでも、レストランが地下2階にあって、自分たちの部屋は13階とか14階にあって、エレベーターが動かないってことがありました。階段を使って上り下りするのはきつかったですよね。それから、シャワーからかなり茶色い水が出たことがありましたよ。

― ナイジェリアで?

最初、シャワーを出したら水の勢いがすごく良かったんですよ。それでソガと「おーっ、やったー」って喜んでいたら、どんどん茶色くなっていって、最後には泥水みたいになっちゃって。でも、シャワーの勢いがあることの方が嬉しくて、それでも浴びましたよね。しばらく経ったら普通の水に戻ったんですけど、大会の最後の方の出来事だったので、もう慣れていたというか。(笑)長い遠征でしたからね。フランス合宿を合わせて、1ヶ月以上行っていましたから。

― そんなに行っていたんだっけ。

だからチームの団結はすごかったですよ。そういうスゴイ経験を一緒に分かち合っているし、ずーっと一緒にいるから、まとまりはすごかったですよ。伸二がキャプテンだったし、本当にチームだって感じがしましたもん。

― 全員でイケイケになっていたそうだよね。

サブの人は相当きつかったと思うんですよ。あれだけ長い期間で、試合にも出られないし。それなのに、サブの人たちもチームを盛り上げようという気持ちがあったし、ひとつになろうという勢いがありましたからね。

― ソガも?

ソガはずっと同室でしたからね。そりゃあ、グチは言っていましたけどね。それでもすごく頑張っていましたよ、あいつ。メンバー外で試合には出られない立場なのに、それでも練習を真面目にやっていましたし。あいつからしたら、それがあるから今があるって感じなんじゃないですか? そういう悔しい経験があるからって。

― ナイジェリアで孤児院に行ったことがメディアではフィーチャーされていたんだけど。

行きましたね。トルシエが行こうって言って。子どもたちを抱っこしたり、写真を撮ったりしてきましたよ。トルシエは「こういうところもあるんだ。君たちは恵まれているんだぞ」って言いたかったんじゃないですかね。だから連れて行ったんだと思いますよ。ただでさえ、みんな生活が厳しいのに、その中でも親がいないんだから、もっと大変な状況だと思いますよね。それなのに、想像以上に子どもたちが明るかったのを覚えています。

― この大会で初めてフィリップ・トルシエ氏の指導を受けたけど、今思う、当時のトルシエ監督とは?

最初の頃はどんな人なのかさっぱりわからなかったので、怒っているイメージしかなかったですね。その「怒り」でいろいろなことをコントロールしているということをみんなでわかり始めたのは、2、3年経ってからですよね。報道陣がいる時はわざと怒って、いなくなると普通に戻ったりして。そういうことはよくありましたよ。それがわかったのは随分経ってからだから、当時はみんなビクビクしながらやっていましたよ。A代表の人たちはそうでもなかったんでしょうけど、僕らはユースだったから特にやられましたよね。

― ラインコントロールの練習ばかりやっていたっていう証言がありますが。

やっていましたね。テニスコートでもやった記憶がありますよ。それも試合当日の朝。散歩に行こうって、みんなで散歩をしていたらテニスコートがあったんですよ。そうしたら急にトルシエがボール持って来いって言い出して。スタッフがボールを持ってきたら、それを投げていきなりラインの練習をし始めて。こっちは散歩だから練習着でもない、普通の服だったんですよ。なのに、1時間くらいやるんですよ。仕舞いにはスタッフに「なんで水を持って来ないんだ」ってめちゃめちゃキレていたりして。(笑)そんな破天荒なところは本当にありましたよ。

― 変わった人だったんだね。

いろいろありましたよ。当時、朝飯がなかったので朝はビスケットとかを適当に食べて、11時くらいにブランチ・スタイルでの昼食だったんですね。日本からコックさんが来ていたので、試合の日にはブランチにおにぎりとか出たんですよ。ナイジェリアではまったく日本食がなかったので、おにぎりやうどんをすごく楽しみにしていたんですね。そうしたら、決勝の日になったら急にですよ。いらない…ってトルシエが言い出しちゃって。だから、決勝でスペインに負けた後は、みんなで「腹が減って動けないから負けたんだよ」って言っていましたけどね。(笑)

― 小笠原選手は、人間教育的なことをしていたように思うって言っていたけど。

うーん、当時はそこまで思わなかったけど、いろいろと連れて行かれましたよね。ブルキナでは町に連れ出されたり、ディスコに行ったり。きっとトルシエって選手がどういう反応をしているのか見ていたんですよ。積極的に溶け込んでいこうとしているか人間観察をしているんですよね。後から考えると、多分そうだと思います。

― どう? もう一度、トルシエ監督の指導を受けたい?

ちょっと厳しいなって思いますね。(笑)

【取材・構成】 SHAPE 豊田 英夫
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南雄太 選手
1979/9/30生
身長:185cm
体重:77kg
ポジション:ゴールキーパー
所属クラブ:柏レイソル