J開幕当初のように、常に満員のスタジアムでプレーすることは全選手の希望でもあり、サッカー界が望んでいる理想の姿でもある。そこで、そんな理想に近づけるための「サッカー人気向上案」を、全チームに訪問して選手側からの視点で自由に語ってもらった。どんなアイディアが出るのか、ご期待ください。
― サッカーの人気を上げていくためには、どんなことが必要になるでしょうか。
戸川 そんなに簡単な問題じゃないと思うんです。まず日本サッカーの歴史が浅い、ということがありますよね。ヨーロッパを見ていると、おじいちゃんが子どもや孫と一緒に家族連れで来ていたりするんですけど、日本にはまだそこまでの年齢層がないですからね。日本のサッカーの社会は若い人たちで構成されている部分が多いと思いますが、野球はヨーロッパのサッカーのように若い人からおじさんやおばさん、おじいちゃんまで幅広い年齢層が評価しているところがありますよね。野球のようにサッカーを取り巻く年齢層が上がっていかないと、そんなに簡単には変わっていかないだろうって思います。見る目、にしても、サッカーを評価できる人が多いかというと、まだそうでもない部分がありますしね。年齢層の問題というのは、歴史の浅さが根幹にあるから、どうしても時間でしか解決できないことだと思います。そんな中で、支えてくれる人たちを増やしていくために今出来ることは、僕たちが面白いプレーをするとか、懸命な姿を試合で見せるとか、ファンサービスを一生懸命するとか、そのようなことをクラブと一緒に模索していくことだと思います。僕が思うに、近道はありません。
飯尾 こんな素晴らしい回答の後に話すのは困るんですけど(笑)、浦和や新潟はお客さんが入っているじゃないですか。特に新潟は優勝争いをしているわけでもないのに、あんなに入っていますよね。そこには、やり方の上手さというようなものがあるんじゃないかと思うんです。あとは、ファンサービスなどをしっかりやって、サポーターを大切にしているのではないでしょうか。だから、また見に来るんだと思います。
― 確かに新潟はイベントがすごく多いそうです。
飯尾 それが自分たちに返ってきているってことだと思うんです。新潟は年齢層がわりと高いそうですよね。最初に地域のいろいろな方たちを無料招待したことがひとつのきっかけになっているんだと思います。招待されて見に来た方たちがサッカーにはまってしまってリピーターになった。応援したくなるようなチームだったのだろうし、見ていて楽しいスタジアムだったのだと思います。サッカーの質もそうだけど、スタジアムの雰囲気とかも絶対に大切ですよ。例えば、スペインのカンプノウでバルセロナの試合を見てみたいって思うじゃないですか。そういうチームになっていかないといけないですよね。
― そのように年齢層が上の方たちを招致していくにはどうすればいいのでしょうか。
飯尾 立地的なことを考えると難しいものがありますよね。東京には野球もあるし、遊びもいろいろなものがあります。サッカー以外の刺激がたくさんあるんですよね。逆に成功している新潟は、東京と比較するとそういう刺激が少ないですよね。そこに大きなハードルがあると思うんです。ただ、大都市圏で成功している浦和という例もありますよね。
戸川 チビ(飯尾選手)が言うように、地域って大切なんだと本当に思う。浦和は町自体がすごいですよね。レッズの応援をしない人がいないんじゃないかってくらいですよね。
― ヴェルディはどうですか?
戸川 地域が少ないというのがとても厳しいですよね。クラブハウス周辺も、片側はフロンターレのエリアですし、逆の多摩川を越えればすぐFC東京のエリアです。混戦地域で出遅れ組なので、地域密着がなかなかしづらいところがあるんだと思います。たまに渋谷とかでもイベントをやっているんですが、スタジアムや練習場までは少し遠いですからね。
飯尾 それに、渋谷という地域は、地方から出てきている人が多いから、ポイントとしても難しいんじゃないかな。
戸川 練習場自体もアクセスがかなり悪いところに立地しているので、見学するのもなかなかしづらいしね。
― ただ、ヴェルディは読売クラブ時代からの強いブランド力があるじゃないですか。ジュニアから近隣のサッカー少年には憧れの的だと思いますし。
戸川 それはありますよね。僕は東京ガスと三菱養和のジュニアユースを受けましたが、ヴェルディは最初からありえないと思っていましたから、受けませんでしたからね。
飯尾 でも、今の子どもは昔の強い時代を知らないじゃないですか。福岡にいたときに、小学校で一緒に給食を食べる交流会があって、小学生に「前はどこにいたの?」って聞かれて「ヴェルディ」って答えたら「知らない」って言われて、かなりショックを受けてしまいました。
戸川 それってショックだよね!
飯尾 そういうことを考えると、人気を戻していくためには、まだまだ時間がかかりますよね。
戸川 とにかく、早くJ1に上がって、強いチームに戻らないとね。
― ありがとうございました。 |