| ―フランスの選手協会には日本にはない制度がいろいろとあったそうですが。

「まず加入制度が違いましたね。フランス人選手でも外国籍選手でも選手協会への加入は任意なんですけど、メリットが多いのでほとんどの選手は加入しています。会費は1部リーグの選手で一律250ユーロでした。2部がその半額で、3部はもっと安くて、という構造になっています。250ユーロを支払うと、その場で半額の125ユーロを小切手でもらえるんですよ。加入したことによって、肖像権料を末端の選手にまで渡すという意味で。少しややこしいけれど、加入者への平等な利益配分がきちんとなされています」
―指導者講習会の仕組みが面白いという話ですよね。
「講習をしてくれるコーチがクラブに直接来てくれるんですよ。練習の終わった午後に、選手が数名残って、サッカー協会から来た講師の講習を1時間受けた後に、ユースの練習を1時間程度手伝う、という実習を行うんですね。それが月に何度かあって、1年続けると日本でいうC級が取れちゃうというような制度です。これはいいですよね。費用が多少かかっても、移動とかの余計な経費はかからないですからね。講師の職も出来るし」
―どんなところから講師が来るのでしょうか?
「おそらく地域の協会なんだと思います。それなりに試合に出ていた元プロ選手が、地域のサッカー協会、日本でいう都道府県協会にもいるんですよね。セカンドキャリアの働き口が多いのは、そういったところにもあると思います」
―その講習でどのくらいまでの資格が取れるのでしょうか?
「ジュニア・ユースを教えるくらいの資格は取れるようです。僕と一緒にプレーをしていた選手で、シーズンが終わったと同時に引退して、モンペリエの15歳以下の監督になった人がいますので。彼は、現役の間にたまに練習を休んで合宿に行っていました。合宿といっても、クラブから車で通えるような距離のところでした。資格を取るということがごく身近なんですよ。使うかどうかは後で考えるとして、資格はみんなが取っています。そういう意味でも、指導者の裾野は広い。また、若いうちから指導者としての講習を受けることによって、現役生活にも役立っているようです。メンタル的にも落ち着くし、知識として得るものも大きいですから」
―他にはどんなものがありましたか?
「トライアル・キャンプというものがあるんです。日本で行われているトライアウトの発展版という感じですね。他のチームがキャンプを開始する7月初旬から8月初旬の時期に、所属先が決まっていない選手が集合して、監督・コーチ・トレーナー・ドクターをつけてトライアルのチームを作るんです。それでキャンプ・センターで合宿をしながら、開幕前のキャンプをしているクラブチームを探して週に2回ほど練習試合を行います。その対戦で実際に選手を観てもらい、観に来たスカウトから獲得される場合もあるし、対戦相手から獲得される場合もあります。また、チームがキャンプを開始する時期ですから、ある程度所属先が決まるような選手でも、フィジカルをあげるためにそのキャンプに来て、移籍先は別途代理人が決めてくる、というような選手もいます」
―広山さんも参加されたんですよね。
「ええ、実際に僕も参加しました。僕が参加した時には、移籍先が決まった人も随分いて、18人くらいのメンバーになっていましたね。日本に置き換えると、2月くらいの宮崎で行うんです。そうすると近くに対戦相手がいくつかありますからね」
―費用はけっこうかかるんですか?
「僕は出していません。でも、けっこう費用はかかっていると思いますよ。だいいち、1ヶ月以上もありますから。食事は毎食出ますし、ユニフォームも出ますし。宿泊はサンテチエンヌの施設を使ったり、クレール・フォンテーヌの施設を使ったりしていました。移動もしましたし、ホペイロやマネジャーもいました。費用は選手協会が負担していたと思いますが、ユニフォームにはヒュンダイがついていたし、ボールにはアンブロがついていましたね」
―セカンドキャリアについてはどのようなことがありましたか?
「選手協会の講習とかもありますが、国としてもセカンドキャリアを考えていますね。普段は大学で働いている公務員の方が、プロ選手やスポーツでキャリアを築いた人がキャリアをやめた時に大きい企業に斡旋してあげるような仕事をしていました。現役中にカリキュラムを組んで、それをクリアしたら、引退後に斡旋先を考えてあげるような仕事です。サッカーはしっかりしているので、自由に仕事を決めていくんですけど、バスケットボールやハンドボール、オリンピック競技などの選手が対象になっているようでしたね」
―どうもありがとうございました。
【取材・構成】 SHAPE 豊田 英夫 |