SPECIAL INTERVIEW
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2002年12月に国立競技場で開催された第1回目のトライアウト以降、実際にトライアウトを経験した選手は数多く存在する。その後は、Jリーグのチームに加入することが出来た選手、JFLのチームに加入することになった選手、引退した選手、大学に入学した選手、と進路は様々だ。このインタビューはトライアウトを経て、Jリーグを離れてJFLや地域リーグのチームに入った選手に、現況やJリーグとの差異を聞き、日本サッカーのタテ構造を俯瞰していく不定期企画である。最初は九州の新興勢力、ロッソ熊本に加入した二人のディフェンダーに2週にわたって登場してもらおう。

―― 二人はトライアウトを受けて、その後、ロッソ熊本に入団しました。トライアウトを受けた時にはいろいろな想いがあったと思うのですが、どんな想いがあったのでしょうか。それからどんな経緯でロッソに入団したのでしょうか。

朝比奈
「鳥栖から契約満了を言い渡された時には「えっ!」って本当にびっくりして、次に「…どうしようか…」って現実的な気持ちになって。僕はまだ出来るんだ、悔しい、という気持ちがかなり強かったんです。だから、しっかりと結果を出して、他のJ2のチームに行きたいと思ってトライアウトに参加しました。しっかり準備をしたので、身体も動いていたし、いいモチベーションでトライアウトに臨めたんですね。だけど、結果的にJ2のチームに入れなかったというのが現実で…。少し時間があってから、ロッソの話を聞いたので、テストを受けさせてもらって、合格して…。でも、正直なところ、最初はやはり戸惑いがありました。J2から2ランク下の地域リーグですからね。気持ちの中でいろいろな葛藤があったんです。でも、今までのことは全て忘れて、もう一度ゼロからスタートしようという気持ちで取り組むことにしました。まあ、JFLの中でもJにあがるつもりがないチームはありますから、カテゴリーは下でも、やっぱり「Jでやるんだ」という強い目標があるチームに来れたことはよかったと思います」

福王
「僕は契約満了になってから、トライアウトがあるということをクラブから聞いて、参加したいと申し出ました。僕もしっかりとコンディションを整えた状況で行ったんですけど、選手が沢山いて自分のやりたいポジションでは出来なかったんです。それでも、とにかく自分がアピール出来るところを出そうと思ってプレーをして、まあまあ出来たと思うし、なんとなく決まるんじゃないかなって思っていたんですけど、オファーが入らなくて。それで他の選手からロッソの話を聞いて、セレクションを受けに行ったんです。ロッソは発足したばかりだけれどJにあがる気持ちがあるチームだと聞いていましたし、僕も伸さん(朝比奈選手)と同じで、JFLで上を目指していないチームにいるよりも、しっかり上を目指せるチームに行きたかったので「ここからあがっていけばいいかな」って。実際に昇格も見えてきていますし(編注:12/8にJFL昇格決定。取材時点は決勝リーグ前)、ロッソに来て個人としても少しは成長できたとも思っていますので、ある意味、契約満了になりJのチームも見つからないという中でも、このチームを選んでよかったと思っています」

― 急にJから地域リーグ、そして熊本という土地に来たことによって、練習も生活も環境のすべてが変わったわけですが、その点はいかがでしたか?

朝比奈
「固定のグラウンドがないからグラウンドを転々としている状況です。それは鳥栖時代もそうだったですし、中には芝がしっかりしているグラウンドもあるからいいんですけど、試合の移動がけっこう厳しいですね。まあ、地域リーグのチームという意味ではしょうがないですよね。贅沢はJにあがってから言わせてもらおうと思っています。熊本という土地はいいですよ。温泉も沢山あるし、僕はけっこう満喫しています。それに、子どもを育てるのにはとてもいい環境ですよ。自然がたっぷりとあって。若い選手にとっては物足りない部分もあると思いますが、僕としてはこのくらいがいいんです。家庭がいいとサッカーもよくなりますからね」

― 移動と言っても、九州リーグは九州の中だけだから、そんなに遠い遠征はないのではないでしょうか。



朝比奈
「今まで遠くて淡路くらいでしたね。厳しいのは微妙に遠い地域が多いからなんです。今年の2月にチームが始動して、すぐにJのチームと8試合くらい試合をしたんです。宮崎とか鹿児島に行ったんですけど、朝4時に出発して、試合をして、帰ってきたりとかして。けっこう厳しかったですよ。でも、最初からそれをやったので慣れたというか、それくらいやったおかげで強くなった部分はありますね」

― 福王選手は環境についてどう感じていますか?

福王
「確かにセレッソの時と環境は違いますよね。練習の時にグラウンドが凍っていたり、ぬかるんでいたりするし、なにもない状況で全て自分たちがしなくちゃいけなかったりしますし。でも、自分たちがいる地域リーグの中でこれぐらいの環境でやらせてもらっているところはないんですよ。その中では、僕らは恵まれているんやろうなあって話をしています。僕らは勝たなければならない…逆に言うと、負けてしまえば終わりのチームなので、自分たちでやらなければいけないことはどんどんやらなければいけないですしね。環境面についてあきらめている訳ではないけれど、最善を尽くしてもらっているので、納得はしています」

― さて、実際に地域リーグで戦ってみて、Jとの差や、その中でも難しさを実感されたと思うんですが、その辺りを教えてください。

朝比奈
「結構きついよなあ? フク」

福王
「今まで戦った中で、レベルが低いという相手はいませんでした」

朝比奈
「それにロッソは大勢のサポーターやファンたちが応援してくれるので、相手が燃えるんですよね」

福王
「絶対に勝ってやろうって気持ちになってしまうみたいです」

朝比奈
「9人で守られて、引いて、引いて、カウンターで攻められたりしてしまって」

福王
「僕らJのチーム相手やったら、それなりのサッカーができるんです。練習試合で福岡とやっても引き分けたりしていますし。でもまったく違うんですよ。そのギャップに戸惑ってしまって、前半戦は順調だったんですが、中盤戦から研究されて、ロッソ用の戦い方をされてしまって。しばらく1-0の試合が4試合くらい続いたんですね。PK戦があるので、それで2回負けてしまって」

朝比奈
「相手としてはPKでも勝てば勝ち点2が取れますからね」

― 決勝大会に入ったら、相手もそういう戦い方じゃなくなりますよね。そうすると戦いやすくなるのでは?

朝比奈
「まあ、普段どおりの力を出せれば…ね。きれいなサッカーをやってしまうとダメなんです。ポンポンって繋いでいくような。それは理想だと思うんだけど、決勝大会は最後の戦いなのでどんな形でも勝たなければいけませんからね。でも、こういう昇格に向けた戦いってなかなか出来ないので気持ち的には充実している部分はありますよ。集中できて。九州リーグ第2ステージでのFC琉球との試合、勝てば優勝って試合で、高いモチベーションで試合が出来て」

福王
「あんな試合が毎回出来れば本当にいいですよね」

【取材・構成】 SHAPE 豊田 英夫