― インターシップで漁業体験を行った経緯を教えてください。
あまり胸を張っていえる様なきっかけじゃないんですよね。ご飯を食べている時に、鐡戸が漁業をしたいと言い始めたんですね。それで「漁業のインターンシップってありますか?」ってだめもとでキャリアサポートセンターに聞いたんです。そうしたら「あるかも知れない」って調べてくれていたんです。そうしたら話が進んでいて、ある日電話が掛かってきて、「いつ行く?」みたいな。(笑)「そういうのあるよ」と聞いて、「あるんだ。面白そうだな。それにうまい魚が食べられるかも!」という軽い気持ちで参加したんです。
― 実際にはどのような作業を行ったんですか?
3日間行って2日間行ったんですが、1回が定置網をあげる、もう1回が伊勢エビをあげる仕事をしました。
― 定置網のほうはいかがでしたか?
もっと手伝えるかなと思ったんですけど、全然だめでした。朝早く起きて沖に出て、イワシがものすごく大量に捕れたんですけど、漁師の人たちは「ここはもっと引かないと」ぐらいの感じだったので、なかなか手伝えたとは思えなかったですね。でもイワシって小さいじゃないですか。そうしたら、漁師の人が「イワシのあとはブリの大群が来る。大群が来れば一日で1千万くらいになるんだぞ」って。2日後は楽しみだと言ってみんな生き生きしていました。
― その晩は、イワシ料理を堪能ですね? どうでしたか、漁師の方々は。
夢を持っているというか、一発当ててやろう、という感じの方が多いんですよね。漁師の人はそういう気持ちが強くて、農家の人とは飲むのが合わないって言っていましたよ。(笑)農業の人は地道にやって、1年間通して出来上がったものが収穫なんですけど、漁師はさっきのブリの話じゃないですけど、1日で生活が変わるというロマンを持っているんですよね。僕もどっちかというと、そういう男臭いというか、「やってやろう」という気持ちがあるタイプなので意気投合してしまいました。
― 漁師にちょっと魅力を感じてしまった?
話と数字には魅力を感じますけど、行ってやってみるときついですよね。(笑)
― 皆さんの生活はどう感じましたか?
奥さんが旦那さんの言うことをなんでも聞いてあげて、立ててくれるんですよね。それが本当の男らしさなのかは分からないですけど、「男!」という感じの漁師の方ばっかりでした。それって毎日の仕事の状況に関わっていると思うんですよ。海は、日で波もすごく変わるし、危険がいつも隣り合わせなわけですよね。そんな状況にそれでも向かっていくのは中途半端な気持ちじゃできない。命懸けじゃないですか。だけど、僕がやっているサッカーなんていったら気持ちは命懸けですけど、死が隣り合わせという訳ではない。現実はよっぽど変な事故がない限り死なないじゃないですか。でも、漁業の人はいつも死と背中合わせなんですよね。死を3回ぐらい感じたという話も聞きました。それほどすごい世界なんですよね。その中で仕事をやっている男たちとの出会いがあったおかげで、自分ももっと仕事に命を懸けるじゃないけど、もっともっと懸命にやっていきたいと強く強く感じました。
― いい触れ合いができましたね。
向こうでサッカー教室もしてきたし、純粋にサッカーが好きな人もいるらしく、また是非サガンへ応援に行くと言ってくれましたしね。今度は僕がその懸命に仕事をする姿を見ていただかないと。
― ありがとうございました。
【取材・構成】 SHAPE 豊田 英夫 |